声劇劇団 さくら座
二人芝居用台本 中国式マッサージ 来来軒 脚本、長月 桜花
客 とにかくリアクション命。
来来 うさんくさい中国訛り。
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客「あれ?こんな所にマッサージ屋が出来てる・・・なになに?・・・貴方の全ての疲れ、痛みを本格的な中国式マッサージで取り除きます?ずいぶんと言い切った看板だなぁ・・・でもなんで名前が来来軒なんだ?中華料理屋でもあるまいし・・・まぁ、こんだけのうたい文句を出してるくらいだから、よっぽど腕に自信があるんだろうな、ちょっと入ってみるか」
来来「いらっしゃいませー!」
客「もっと年のいった人がやってるのかと思ったら意外と若い人が出てきたなぁ」
来来「よく、言われますネ!さあさあどうぞー!」
客「ここは、お姉さん一人でやってるの??」
来来「そうですよー」
客「へぇ、お姉さんは中国の人?」
来来「はい、中国から来ました、来来でーす」
客「ああ、だから来来軒なのかぁ」
来来「はい!よく中華料理屋?って言われますー」
客「名前が名前だからねー」
来来「さあ、まずはこちらで問診票を書いてくださーい、お疲れ、お痛みを全て取り除きますー」
客「随分な自信だねー」
来来「はーい!本場中国で腕を磨きましたからー!」
客「なるほどねー。はい、問診票書いたよ」
来来「ふむふむ、結構全身がお疲れなんですねー!」
客「うん、最近仕事が忙しくてねー」
来来「お任せくださーい!全てのお疲れを取ってさしあげますー!」
客「よろしくー」
来来「それじゃあ、こちらにうつ伏せに横になってくださーい!」
客「よっこいしょ・・・これでいいかな?」
来来「はーい大丈夫でーす!それじゃ早速始めていきますねー!」
客「期待してまーす」
来来「まずは、足の裏からー」
客「足裏かぁ中国式って感じだね」
来来「はい、足の裏は基本ですからー!じゃあツボを刺激していきまーす!」
客「うっ!!」
来来「どうかしましたかぁ?」
客「これは・・・痛いね」
来来「それはお客さんが疲れてる証拠でーす」
客「そういうもんかぁ」
来来「そうでーす、次はこのツボをっ!」
客「うぎゃあ!痛い痛い!!」
来来「我慢してくださいねー!ゴリゴリー!!」
客「ちょ!もうちょっと優しく!!」
来来「痛いほうが効きますからぁ!」
客「痛いの度を超えてないかな!ぎゃあ!!」
来来「あっ、胃もお疲れですね!!」
客「聞いてないね!確実に聞いてないよね!?」
来来「うふふふふ!お客さん、やりがいがありますー!」
客「なんか自分の世界に入ってないかい!?」
来来「このツボを刺激すればっ!」
客「たんまたんまたんま!!!取れた!疲れ取れたから!!」
来来「そうですか?じゃあ次はふくらはぎにいきまーす」
客「はぁはぁ・・・あ、涙が」
来来「ふくらはぎも大分はってますねー」
客「こ、こっからは痛くないんだよね?」
来来「あ、お客さん信じてませんねー」
客「あの・・・恐怖しかないです」
来来「大丈夫ですよー、よっ!!」
客「な、何してるの!?」
来来「今から踏んでいきますねー」
客「ふ、踏む!?ふくらはぎを!?」
来来「はいー!」
客「ふくらはぎを踏むのは物理的に無理がっ!!」
来来「それっと!!」
客「ぎゃああああああああ」
来来「痛いですか?痛いのは疲れてるからですよ」
客「違う!絶対に違う!!」
来来「ふんふんふんふーん」
客「何を鼻歌交じりに陽気に踏んで・・・ぐおおおおおおお!!!」
来来「お客さん、本当に疲れてますねー」
客「疲れてるんじゃない!重力的なものにやられてるんだ!!」
来来「何を意味のよく分からない事をー」
客「わかれええええええええええ!!!」
来来「・・・お客さん」
客「はあはあ・・・へ?」
来来「これから腰に移りますが覚悟はよろしいですか?」
客「ちょっと待って!!何の覚悟!?」
来来「少々お待ちを」
客「なぜ棚の上に乗る!?」
来来「いきます!!」
客「話しを聞けえええええええ!!」
来来「しゃあ!!このやろー!!!」
客「これはなんて華麗なフライング殺法・・・って!」
来来「だーーん!!!」
客「ぐおぼおおおお!!!!・・・あ・・・腰逝った」
来来「お客さん、それは腰が疲れ以下略」
客「お、お姉さん」
来来「はいはい?」
客「今のさ・・・」
来来「はいはーい?」
客「中国式じゃないじゃん!むしろメキシコ式じゃん!!!」
来来「中国式アルよー」
客「ちょっと待て!いま言葉の最後にアルつけたよな!中国人がアルつけて話すのなんて実際
には見たことないぞ!!」
来来「もう、お客さん!疑り深いですねっ!!分かりました!こうなったら中国式奥義の針治療をしてあげますよー!」
客「・・・おい」
来来「はいー?」
客「あんたが手に持ってるの・・・なんだ?」
来来「針です」
客「あれ?おかしいな・・・俺には針は針でもマチ針に見えるんだけど」
来来「これが本場の鍼治療ですからー」
客「嘘つけ!そんなん刺されたら下手すりゃ内蔵やられて死ぬわ!!」
来来「大丈夫ですよ・・・たぶん」
客「今、たぶんて言ったよね!?言ったよね!?」
来来「えー、気のせいデース!!」
客「さ、さっきのジャンピングセントーンのせいで腰が痛くて動けない!!いいか!それをちょっとでも刺したら法的手段に打って出るからな!!」
来来「うふふふふふふふふふ!!!」
客「サ、サイコパス!!たーーすーーーけーーーてーーーー!!!」
来来「いきますよー!!・・・あ、電話です。ちょっと待ってくださいねー」
客「い、今のうちに逃げねば・・・はうっ!!腰があああああああ」
来来「はい高木です。あ、おじいちゃん?大丈夫じゃってー、今もお客さんいるけんのう」
客「・・・へ?」
来来「はいはい、また後でかけ直すわー。・・・お待たせしましたぁー」
客「高木さん」
来来「はいー?・・・あ」
客「全部聞こえてたぞ!流ちょうな日本語話してるの!お前、中国人じゃないだろ!!」
来来「ち、中国人アルよー!」
客「ご出身は?」
来来「中国アルー」
客「・・・の何処?」
来来「えとえと」
客「高木さん?答えようか」
来来「・・・広島県です」
客「貴方の本当のお名前は?」
来来「高木久美子と申します」
客「さて・・・どっから突っ込んだものか・・・って日本人じゃん!!」
来来「でも、中国から来ましたー」
客「中国地方からな!!あと、その胡散臭い中国訛りやめい!!」
来来「はいです」
客「高木さんさぁ、これは詐欺ですよ!詐欺!!」
来来「そんな詐欺だなんて」
客「なにが本場中国の技術だよ!本気で訴えるぞ!!」
来来「本場です!!」
客「何の?」
来来「・・・広島風・・・お好み焼きとか?」
客「うん、よし!法廷で会おう!!」
来来「ちょっと待ってください!」
客「なんだっ・・・」
来来「えいっ!!」
客「はうっ!!」
来来「ふふふ、私が本当に中国に旅行した時に現地の営・業中さんから唯一教わった気絶&記憶の無くなるツボです・・・さて、今の内に証拠の隠滅を・・・あ、料金もいただかなくては」
間
客「ん・・・あれ?俺なにしてたんだっけ?・・・体中が痛い・・・くまなく痛い・・・あ、ちょうど良い所にマッサージ屋がある、なになに?・・・貴方の全ての疲れ、痛みを本格的な中国式マッサージで取り除きます?ずいぶんと言い切った看板だなぁ・・・でもなんで名前が来来軒なんだ?中華料理屋でもあるまいし・・・まぁ、こんだけの謳い文句を出してるくらいだから、よっぽど腕に自信があるんだろうな、ちょっと入ってみるか」
来来「いらっしゃいませー!」
完