声劇劇団 さくら座
超合体アステライズ 最終話 戦いの果てに 作、長月 桜花
ショウタ 主人公、熱血漢なアステライズのメインパイロット
アズサ ヒロイン、ショウタの恋人だったが残忍な敵になった
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アズサ「ショウタ、遅かったわね、散布した毒は地球中に回った、この星の人間は既に死に絶えたわ」
ショウタ「これが、お前の・・・アズサの望んだ結末だと言うのか」
アズサ「そうよショウタ、こんな世界・・・守るに値しなかったの」
ショウタ「だから俺たちを・・・人間を裏切って俺たちの敵であるガミュードの側に付いたのか?」
アズサ「ええ、人間なんて醜い存在を何で生かし続けなければいけないの?」
ショウタ「醜い・・・か、アズサにとってはそう見えちまったんだろうな」
アズサ「私はずっと人間を守るために戦ってきた、でも奴らは私のパパとママを殺したのよ」
ショウタ「そうだな、確かにお前の父さんと母さんは人間によって殺された」
アズサ「命をかけて戦ってきた報いがこれだって言うの?私は必死に守ってきた人間に両親を殺されたのよ」
ショウタ「だからガミュードサイドに回って人間に復讐したってわけか」
アズサ「そうよ、私は馬鹿らしくなったの、こんな世界を守るのがね」
ショウタ「でも・・・お前だって人間だろうが」
アズサ「人間?ふっ、自分が人間だなんて考えはとうに捨てたわ」
ショウタ「今じゃ身も心もガミュードってか」
アズサ「ガミュードは私を受け入れてくれた」
ショウタ「それが奴らの作戦だったとは思わないのか?」
アズサ「たとえそうだったとしても、それはお互い様じゃない」
ショウタ「お互い様?」
アズサ「私もガミュードを利用して人間に復讐を果たした」
ショウタ「そういう事か」
アズサ「何が悪いの?」
ショウタ「お前がそう思ってるならそれでいいんじゃないか、ただ・・・悲しい女だな」
アズサ「悲しい?どこが?私は勝ったのよ」
ショウタ「勝ったのはお前じゃない、ガミュードだ」
アズサ「それなら私の勝ちじゃない、私だってガミュードの一員よ」
ショウタ「アズサ・・・お前は心の優しい奴だった、誰よりも本当は争いを憎む奴だった」
アズサ「ショウタの中のアズサはとうの昔に死んだわ」
ショウタ「だろうな、お前がミナトを殺したあの日に俺のアズサも死んだ」
アズサ「ミナト・・・彼は私がガミュードに行くことに気づいてしまった」
ショウタ「止めにいったんだろ?」
アズサ「ええ、馬鹿らしい正論を撒き散らしてね」
ショウタ「だから殺したって言うのか?」
アズサ「あの正義のヒーロー気取りがしゃくに触ったのよ」
ショウタ「だからって・・・大切な人を殺される辛さはお前が一番分かってるんじゃなかったのか?」
アズサ「不憫ね」
ショウタ「他人事かよ・・・ミナトと将来を誓ってたマユカがどんな気持ちになったか」
アズサ「そんなの私には関係ない」
ショウタ「マユカはお前の親友だっただろうが」
アズサ「忘れたわ」
ショウタ「恋人を親友に殺されて・・・マユカがどんな思いで死を選んだのか」
アズサ「弱い人間ね」
ショウタ「本気でそう思ってるのか?」
アズサ「ええ、情にほだされて死を選ぶなんて所詮は人間といったところかしらね」
ショウタ「ああ、確かに人間は弱い・・・それでもみんな必死に生きようとして戦ったんじゃないのか」
アズサ「無駄な努力だったわね」
ショウタ「俺たちの・・・アステライズの戦いも無駄だったってことか」
アズサ「アステライズ・・・あのポンコツロボね」
ショウタ「アステライズは俺たちの気持ちに精一杯答えてくれたじゃないか、それを否定する事は許さない」
アズサ「そもそもアステライズ一機だけで本当にガミュードに勝てると思っていたの?」
ショウタ「俺たちはそれを信じて戦ってきたんじゃないのかよ」
アズサ「だとしたら人間の甘さに笑いが止まらない」
ショウタ「お前だって、そうだったんだぞ」
アズサ「なら尚更ガミュードへ行って良かったわ」
ショウタ「アズサがアズサでなくなった瞬間にこの結末は決まってたのかもな」
アズサ「それは少し違うわね」
ショウタ「違う?」
アズサ「人間が私を裏切った瞬間に・・よ」
ショウタ「それがガミュードの作戦だったとしてもか」
アズサ「どういうこと?」
ショウタ「全部ガミュードの筋書きだったってことさ」
アズサ「言ってる意味がわからないわ」
ショウタ「お前の両親を殺すように仕向けたのがガミュードだったってことだよ」
アズサ「適当な事を言わないで」
ショウタ「俺だって何もしなかったわけじゃない、犯人の一人を追い詰めて吐かせた。そうしたら言ってたよ、アズサの両親がガミュードのスパイだったから殺したって」
アズサ「そんなわけないでしょ!」
ショウタ「それを犯人に言ったのはガミュードのスパイだった」
アズサ「ガミュードの」
ショウタ「お前はガミュードに踊らされてたんだよ」
アズサ「だから・・・なに?」
ショウタ「それでもガミュードに忠誠を誓うのか?」
アズサ「たとえガミュードが裏で手をひいていたとしても実際に殺したのは人間よ、それに私にはもうそんな事どうでもいい事なの」
ショウタ「復讐を果たせたからか?」
アズサ「ええ、もう人間だろうがガミュードだろうが関係ない」
ショウタ「もう、考えることもやめちまったんだな」
アズサ「そんな私に負けて悔しい?」
ショウタ「ああ悔しいさ」
アズサ「残念だったわね、正義のヒーローさん」
ショウタ「正義のヒーロー?そんなもん今更どうだっていいさ。俺が悔しいのはずっと一緒にいながらお前が壊れるのを止めてやれなかったことだ」
アズサ「私がいなければアステライズは動かないものね」
ショウタ「違う!そんな事じゃない・・・俺は・・・アズサとの幸せな未来を信じて戦ってきた」
アズサ「あら、アステライズのリーダーにしては随分個人的な感情ね」
ショウタ「そう言われるならその通りだ、俺に正義を語る資格なんてないかもな」
アズサ「でも残念ね、もう私の中にショウタへの恋愛感情なんてないわ」
ショウタ「俺も今のアズサに恋愛感情なんてないさ」
アズサ「幸せな未来とやらは幻になったわね」
ショウタ「そうだな、もう全部幻だ」
アズサ「無様ね・・・結局は無駄な戦いをしてきたって事じゃない」
ショウタ「アステライズで最終決戦に臨む事も許されなかった・・・今となってはお前の言うとおりだな」
アズサ「可哀想な人」
ショウタ「なんとでも言うがいいさ、俺は守れなかったんだ」
アズサ「そうね、愚かな人間たちを守れなかったわね」
ショウタ「それもそうだけど・・・ミナトもマユカも・・・そしてアズサも俺は守れなかった」
アズサ「そうやって何時もヒーロー気取って一人で全部背負う姿勢にいつもムカついてたのよ!」
ショウタ「なんでだ?」
アズサ「何時も何時も責任全部背負って一人傷ついて、それでもそんな姿をみんなに見せないで、チームなのに一人で頑張って、馬鹿じゃないの!?」
ショウタ「ふふっ」
アズサ「何がおかしいのよ?」
ショウタ「なんか昔のアズサみたいだなって思ってね」
アズサ「そんなことない・・・昔のアズサは死んだわ」
ショウタ「いや、お前は俺の知ってるアズサだよ」
アズサ「違う」
ショウタ「じゃあお前・・・なんで泣いてるんだよ」
アズサ「え?」
ショウタ「もういいじゃないか、強がらなくても」
アズサ「強がってなんていない!」
ショウタ「お前は人間だ、ガミュードなんかじゃない」
アズサ「私はガミュードだ、これからこの船でガミュードに帰るんだ」
ショウタ「じゃあ、なんで俺をこの船に導いた、一緒に葬らないで」
アズサ「それは・・・この世界の最後を見せてやる為だ」
ショウタ「そっか、やっぱり俺はダメだ。こんな状況になってもやっぱりお前を愛しちまってる」
アズサ「本当は・・・ショウタにも一緒にガミュードに来て欲しかった」
ショウタ「ガミュードに?」
アズサ「そこで一緒に暮らせれば・・・とっ!」
ショウタ「そうか」
アズサ「話しなら私がつける!一緒に行こう!」
ショウタ「アズサ・・・愛してる」
アズサ「私も、愛してる」
ショウタ「でもっ!!」
アズサ「うぐっ!!・・・ショ・・・ウタ?」
ショウタ「すまないアズサ、俺はやっぱり人間なんだ。ガミュードには行けないし、人間を滅ぼしたお前を許す訳にはいかない」
アズサ「だか・・・ら、撃ったの・・・ね」
ショウタ「アステライズの最後の一発だ」
アズサ「ば・・・かね、私じゃなきゃ・・・この船は・・・動かない」
ショウタ「こんな船いるかよ、俺の居場所は地球だけだ」
アズサ「この・・・汚染された星で・・・」
ショウタ「最後まで生き抜いてみせるさ」
アズサ「ほんと・・・馬鹿な人」
ショウタ「悪かったな馬鹿な男で」
アズサ「でも・・・そういうとこ・・・嫌いじゃなかった・・・わ」
ショウタ「いいから、もう眠れ」
アズサ「ショウ・・・タ、手を」
ショウタ「・・・ああ」
アズサ「あたたか・・・い」
ショウタ「アズサ?・・・おやすみ、しっかり向こうでミナトやマユカに詫びるんだぞ、俺が行った時はまた四人で楽しくやろうや・・・ガミュード、俺がいる限りアステライズは不滅だ、せいぜいあらがってやるから覚悟しとけよ」
完